44:逃げられた

「ふっふっふ。モリウニがこんなところにいたとはな」
「一発大逆転のチャンスだな、相棒」
「しかーも!先手必勝対策も万全!」
「待ってろよモリウニ!俺たちが本気を出せば、モリウニなんて栗のイガも同然!」
仁王立ちした男が二人、デツーの森の入り口で騒いでいた。
なぜか二人ともふんどしを装着している。
無論関わりあいになろうとするものはなく、デツーの森は二人以外はいつも以上に静かだった。

しかし、当事者となれば静かにできるものではない。

「モリウニはっけーん!」
「ファーストアターーック!」

……なんだか騒がしい。
と、妙な二人組みがこちらに向かってきていた。異常なスピードで。
キン。
でも弱い。
相手にしないでおこう。さっさと逃げ出した。

「くそう、次こそは、次こそは俺たちの本気を見せてやるぜ!」
「リベンジー!」

「おおっと、モリウニはっけーん!」
あ、また来た。
「スリーピング!」
は。なんだか眠気が…。Zzz…
「よし、寝たぞ!」
「ピエール斬!」
カキン。
「ジュリアスの舞ー!」
ちくり。
…?あ、寝てたのか。まずいまずい。

逃走!

「「あ」」
「…くっ、無理か、無理なのか…」
「いや、あきらめるな、シューティングスター復活のために!」

「次こそは、俺たちの本気を見せてやるぞ!」
「おう!」

まったく、妙な二人組みが来たものだ。
この森は静かでよかったんだがなあ。
でもまあ、たまにはこういう刺激もあったほうが面白いかもしれない。
そんなことを思うモリウニの一日。

「ぬぉおおーん!」
「また、逃げられたー!」

とりあえず、やつらがどれだけ本気を出してもちゃんと逃げられたから。
気が向いたらかまってやろうじゃないか。

のどかなダイの村には、最近よく雄たけびが響き渡る。
それが実は、幻の珍獣の退屈しのぎの結果であるなどということは。
ここだけの話だ。


No.44: I can escape from you every time.
ex...No.43

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